【福岡】本当はあまり人に教えたくない、穴場的寿司屋の超美形にぎり「すし 伍水庵」
すし 伍水庵 (sushi gosuian)
福岡県でいう皇居的ランニングスポット、大濠公園。住宅街、マンションの1階にさりげなく暖簾がかかった寿司屋がある。「すし 伍水庵」は、高知の寿司屋で修行を重ねた、41歳の大将、筒井さんが2017年にオープンさせた、カウンター7席の小さな寿司屋だ。夫婦で営むこじんまりと、かつ凛とした空間で、その腕前を拝見する。
【アクセス】
大濠公園駅から徒歩3分
【コース】
昼 おまかせ:8500円
【このお店のスペシャリテ】
・アラ
別名クエ。この時期の九州では主力ネタ。見た目は淡白かと思いきや、よく見ると艶やかなエロさのある美貌。噛むほどに広がる脂の甘さが上品。いきなり心を掴まれる。
・白えび
口に入った瞬間にスッと馴染む舌触りに目が丸くなる。このスムーズさは大将の下準備があるからこそ。甲殻類っぽい、エビな余韻が面白い。素晴らしい逸品。
・春子鯛
じんわり、シャリとの酸味が相まって余計にスッキリとする。コハダに近い春子。渋い、美味い。
・赤身
鹿児島の150kg。豊洲の有名卸である石司から仕入れる。色、艶、見た目の美しさが完璧。食べ終えた後の余韻力が強く、マグロ特有の酸が口の中にじわーっと残る。美味い。
・トロ
やられた、曲線美に。そして口に入れた瞬間は水分量少なめに感じるシャリも、トロの脂とマッチすることで一気に親和性が高まる。何度も頷いてしまった逸品。
・コハダ
もちろん天草。コハダ史上相当上位に入り込むフォルムに仰天。素晴らしい。春子鯛とは違うツウな美味さがある。
・車エビ
直線系フォルムの車エビ。味も直線系のキリッとしたタイプ。大将の潔い性格がここに現れている。一貫入魂とはまさにこのこと。寿司というシンプルなアウトプットにも、職人のバックボーンが込められていることを改めて痛感させられた。勉強になった逸品。
・サヨリ
通称「寿司界のエルサ(アナ雪)」。口に入れた瞬間にくるあさつきと生姜の香り、パンチ力がある。すーっと馴染む、シンプルなサヨリ。
・サワラ
燻して、炙って仕立てあげた逸品。噛むほどに広がる薫香、モチっとした肉厚な食感はもはやスモークハムに近い。どのネタもひとつひとつにストーリーがあり、感嘆。
・ウニ
北海道のバフンウニ。軍艦に高さがあるフォルムが特徴。その理由は、この時期のウニはアッサリしているため、海苔を濃く体験してもらうために海苔の面積を大きくしているという戦略性を秘めたネタ。口の中に海苔の濃さがいつまでも残り、海水浴をしているような、そんな感覚に浸れる逸品。
・アナゴ
大胆なカット。ここにも大将の粋な精神が宿る。完全にアナゴを食べるためのネタシャリバランス。口の中に入れた瞬間にフワーッと広がる優しくも強い風味が口中を席巻する。
・煮ハマグリ
追加。大ぶりのフォルムにテンションが上がる。噛みごたえとシャリのバランスが最高。
・シャリ玉
赤シャリ。赤酢は京都の飯尾醸造。シャリサミット参加。赤シャリだが酸は少なめに。大将曰く、どのネタにもマッチするユーティリティシャリ。このシャリは3ヶ月前に納得いくものに出来上がったとのこと。
【まとめ】
なによりも一貫一貫のフォルムが美しい。そこに興奮が止まらなかった。正直、人にあまり教えたくない、そんな隠れ家的な寿司屋。期待をはるかに上回る寿司の完成度。いい意味で面食らった。
シンプルだがその奥にはしっかりとしたネタへの施しがされており、大将の性格、魂がしっかりと込められている寿司はシンプルに美味い。ものやわらかな大将の接客や距離感もちょうどよく、これから福岡でジワジワと話題になっていくであろう、これからどこまでいくんだろうという期待が大きい名店だ。
【食べログ】
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