【茨城】”すし”の枠にとどまらない”SUSHI”的な発想で全国の食通を唸らす北関東の名店「松榮鮨」
松榮鮨
(matsueizushi)
【アクセス】
友部駅から徒歩4分
【コース】
おまかせ:20000円
※素材により変動
【いただいたもの】
・ハモの湯引き
今シーズンの初モノのハモ。豊洲に3本あるうちの1本が手に入ったという。自家製のポン酢と薬味とともに。ぷりぷり食感でいいスタートダッシュ。松榮劇場の開演だ。
・焼きサワラ
船上放血〆のサワラを目の前で藁で香り付け。もはやハムのような味わいだ。
・茄子の揚げ浸しとフォアグラの西京味噌漬け
面白い逸品。茄子にフォアグラの西京味噌漬けという組み合わせは斬新。フォアグラは味噌に漬けることによってかなり食べやすい。美味い。
・シメサバのサンドイッチ
これは面白い逸品。シメサバのコンフィと玉ねぎを焼きたてのパンでサンド。寿司屋のサンドイッチが完成。食べやすくおやつとして持ち帰りたいくらい。他にもたまごサンドやカツオのツナサンドなどレパートリーも豊富とのこと。
・焼きマスとキャビアトリュフ
これはアメリカ的な罰当たりな逸品。かなり贅沢。マスは火入れするとパサツキやすいがしっとり。マッシュポテト、キャビア、トリュフの組み合わせはすごい。
・赤身
シャリの温度が高いうちにここでマグロの握りを。千葉県勝浦のマグロ。硬くパンチのある味わりの赤シャリがかなり個性的で面白いです。
・中トロ
赤身とトロのいいとこどり、いわゆる血合いぎしと呼ばれる部位。トロンとした脂とほのかなマグロの香りが素晴らしい。
・砂ずり
腹上1番のトロの部分。これぞエロスを感じる熟女的な味わい。
・大トロ
これだけは個体を変えて、長崎県壱岐市の50kg級のマグロをなんと1ヶ月熟成。じっとりねっとりいやらしい触感に纏われる。
・常陸牛の牛タン
ここで松榮鮨のスペシャリテ的な逸品。茨城県のブランド牛である常盤牛のタンを目の前で炭火焼き。
ここは焼肉屋かと錯覚してしまう。タンだと想像して食べると全く違う印象。プリッと食感とジューシーな脂が滲み出る。寿司屋の枠を超えた体験ができて思わず笑みが溢れた。
・常陸牛のローストビーフ
常陸牛の連続コンボ。なんと次はトモサンカクと呼ばれるももの部位をローストビーフにして、うずらのたまごに絡めてすき焼き風にいただく。口に入れて噛み締めるともはやローストビーフの域を超えた味わいに口福ホルモンが溢れ出た。
・毛蟹のカニクリームコロッケ
これまた面白いラインナップ、ここで揚げ物が登場。大将曰く、「ほぼカニの」クリームコロッケです。とのこと。箸で割ってみるとおっしゃる通り。毛蟹の濃ゆい旨みがたっぷりと詰まっていた。
・スミイカ
スミイカは包丁を入れずにサクコリ感を楽しむのが一般的だが、松榮鮨のスミイカは包丁を80回ほど入れてイカ特有の甘さを演出する技法で握りに昇華。白シャリとの相性もよく、思わず「うまっ」とつぶやいた。
・ムラサキウニの食べ比べ
大将が気合いを入れて仕入れた一番札のムラサキウニを超贅沢に食べ比べ。宮城県のさとうの生うに、からの、北海道函館の橘水産の生うに。画力の強さに思わず唾を飲み込む。
どちらも味が濃く、ビターチョコレートのような大人の味わい。噛まずともスーッと口の中で溶けていった。刹那的な寿司だ。
・のどぐろ丼
のどぐろとシャリをぐちゃぐちゃに混ぜていただく。後半はのどぐろとキンキの出汁でとったスープをかけてお茶漬け風に。このスープの力強さは凄まじかった。
・フグの白子丼トリュフがけ
これまたリゾット形式の小丼の応酬。まるまるとしたトラフグの焼き白子にトリュフをたっぷりかけて香りの化粧を施した贅沢品。フレンチ料理のような味わいだ。
・コハダ
ここでコハダ。スレンダーでモデル体型のフォルムに興奮。シャープでイケメンだ。ゆずの香りでさっぱり。酢で締めている時間は一般的なコハダよりも短めにしているという。
・鯖の棒寿司
脂ののった生鯖を使用した棒寿司。とろっとした脂がさりげなくエロい。
・赤貝
特別に仕入れて下さったモンスター級の逸品。広島県の赤貝。これまで食べてきた赤貝史上、ナンバーワンのデカさ。500g以上の重さがあるという。
写真じゃ伝わらないかもしれないが、普通の寿司屋で出される赤貝5カン分くらいの大きさがあります。それをせっかくなので1カンで。もう、口福の中の口福感…。赤貝という名の大海原で溺れてしまった。とんでもない体験をさせていただきました。
・車海老
これまた三河湾のモンスター級の車海老が登場。比較用に、と普通サイズの車海老と比較すると2倍くらいはあるデカさ。それを半生に茹でて、握りに。流石にこれは一口で食べれないので半分にカットいただく。
半分でも通常の車海老の1.5カン分の食べ応え。超分厚い筋肉に覆われたラガーマンのような肉厚筋肉質食感は、ガツンと頭を殴られたかのような味わい。これまたやばい体験をさせていただきました。
・ハマグリ
茨城県はハマグリの名産地。柔らかく煮たハマグリに、その煮汁をかけていただくという面白い演出。握りを口に含んだら、同時に煮汁を飲んでから噛んでください、と大将。少しぬるま湯の天然温泉に浸かっているかのような幸せで温かな感覚に包まれた。
・春子
春子はシンプル。かと思いきや朧をシャリにミックスした状態で握る。柔和な味わいで口の中に春の訪れを告げられた。
・常陸牛のシンシン
大将にわがままを言って、常陸牛を握っていただいた。タン、トモサンカク、シンシンの常陸牛3兄弟をこれでコンプリート。最後は脂が少ないシンシンと呼ばれる部位をステーキにし、握りで。噛むほどにジュワッと肉の旨みが滲み出てくる。肉寿司も面白いなあ。
・シャリ玉
パンチのある赤シャリと昔ながらの白シャリの食べ比べ。白シャリは地方寿司屋らしい砂糖の効いた甘めのシャリで美味しい。赤シャリは今や手に入らない横井醸造のヨヘイを使用。硬く炊いた地元茨城県のお米と赤酢のコクを感じるパンチ力のある赤シャリだ。
【まとめ】
茨城県笠間市に立派に佇む高級寿司屋。名門のゴルフ場も近く、今や7.8割は県外のグルメ客が足を運ぶという。40代前半の臼井大将は2代目で、東京で修行した後、NYのトランプタワーで6年、その後スイスやインドでも寿司屋経験をして実家を継ぎ、高級路線へとモデルチェンジ。そのワールドワイドなキャリアから生み出される、「すし」の枠にとどまらない「SUSHI」的な発想で、お客様に合わせてその引き出しから数々の切り札を繰り出す様はまさにマジシャンだ。
素晴らしい食材と大将のこだわりが詰まった演出、奥様との二人三脚によるおもてなし空間はここでしか味わえない価値だと強く感じました。東京からでも特急で1時間強で行けるため、機会があればぜひ予約をして訪問していただきたい地方の名店です。
【食べログ】
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