【淡路島】撮影禁止!地物ネタを未体験の食感や味に昇華させる、気さくなファンタジスタ「すし屋 亙」
すし屋 亙
(sushiya nobu)
食通なら、淡路島と聞くと、海の幸や野菜など、食材に富んだ島、というイメージがあるだろう。そんな淡路島に、兵庫県1位、今や全国から食通が足を運ぶ寿司屋がある。その名は「すし屋 亙」。店内の撮影禁止、という謎に満ちた名店で、地物ネタの数々を楽しむ。
【アクセス】
三宮駅から高速バスで1時間強
【コース】
おまかせ:15000円
【このお店のスペシャリテ】
・鯛
まずは鯛から。口に入れた瞬間のギュイン系の食感に驚き。美味い。
・スズキ
旬の夏の白身。コリっと感がありつつもソフトなしっとり感も兼ね備える。器用に仕事をこなすエリートタイプだ。
・ヒラメ
ほんのりとねっとり感はあるが食感が最高。
・石鯛
皮目のコリっと食感と後半に脂が追いかけてくる。カンパチに近い食感と味。石鯛ってこんな味なのかと勉強させられる逸品。
・ハモ
とんでもないネタ。生で骨切りして、それをミンチのように軽くこねて握りで。素晴らしすぎる。これは食べにきた甲斐がある。スペシャリテ。
・剣先イカ
隠し包丁、そして炙って、ゴマとスダチ。ソフトに美味い。いやートークが楽しい。
・アジ
シマアジに近いようなアジ。ゴマを振って。福岡のゴマサバゴマアジを思い出す。美味すぎる。
・赤身
シンプルに鉄分と酸感。食べやすく白シャリでも全然マッチするんだよなぁ。
・トロ
ここに来て脂を感じるネタ。コリコリ系の中にここでいったん旨み系でがっつり。構成が楽しくて仕方ない。
・トロタク
ノブ流のトロタク。艶々のトロと木川漬けをミックス。それをハンバーグのように細かくミンチ状に。それを更に炙った海苔を砕いてかける。こんなのは見たことがない唯一無二の寿司だ。とてつもなく甘い。
・車エビ
ノブ名物。地物の車エビを茹でて、おぼろシャリで、そして下向きで提供。この方が美味いとのこと。前半シャリの甘さ、後半はエビの食感。言うことなし。
・ホタテ
潰してはたまたミンチ状に。甘さを引き立てる技法。ジャキっとした食感とグニュっとした柔らかさに包まれホタテ一色になる。美味すぎる。
・アワビ
煮アワビ。ギザギザにカットして、肝をのせて。美味すぎる。香りがいつまでも残る強烈なネタ。
・タコ
立派な淡路島のタコ。吸盤を楽しんで欲しいとカットは厚めに。サッと炙り、梅肉を乗せて。素晴らしすぎる。歯応えマニアにはたまらない逸品。
・イカうに
淡路島由良の赤ウニをのせ、そこから薄切りの剣先イカを。見たことがないイカウニの握り。
・焼きアナゴ
細く長く切って、結んで握る。見た目が芸術的。口に近づけてから噛むほどに広がっていく香ばしさを楽しむ逸品。
・塩アナゴ
焼きアナゴよりもふんわりほろりとした食感を楽しめる。
・シャリ玉
大将曰く、シャリは白シャリでしょう、とのこと。シャリは漢字で書くと、舎利。これは仏教用語で、死んだ人の骨を砕いた形にシャリが似ているから。なるほど、一理ある。柔らかめの炊き加減でデンプン質を強く感じる。ずっと食べていたいような味のシャリだ。
【まとめ】
ここでしか食べられない、というネタに富んだ寿司屋。これぞ地方の寿司屋という感じで、刺激的な空間だった。終始、大将によるテンポの良い関西弁のトークも含めて楽しい。握り17カンのみのおまかせコース、つまみがなくても充分満腹になる。一流の寿司屋では定石の、ネタを寝かせて旨みを引き出す、という調理法とは真逆。新鮮な瀬戸内の魚をその日に握って食べさせてくれるため、とにかくネタの筋肉質な弾力食感を楽しめる。特に印象的だったのは冒頭の白身4連発からのハモの握り。車エビやタコもなかなか食べない食べさせ方なので、食べていて飽きが来ない。
撮影禁止ということは、情報がない分、「どんな寿司が出てくるのだろうというワクワク感」があるということ。既視感のないフォルムや味が詰まったこの寿司たちは、もはや「亙前寿司」というジャンルだろう。
一見、常連に分け隔てなく接してくれるのもありがたい。また季節を変えて訪れたい、これぞ「わざわざ行く価値のある寿司屋」である。
【食べログ】
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