【二子玉川】57日間寝かせた魚はこんなにも美味い。熟成寿司の最高峰「すし 㐂邑」

【二子玉川】57日間寝かせた魚はこんなにも美味い。熟成寿司の最高峰「すし 㐂邑」

 

すし 㐂邑

(sushi kimura)

寿司の名店を食べ歩いていて、なかなか耳にしないエリア、二子玉川。寿司好きな人たちにわざわざ食べに行かないといけないこの立地に店を構えるのが、「すし 㐂邑」だ。49歳の店主、木村康司さんが生み出すのは、今や不動の地位を築いた「熟成寿司」の世界。カウンター10席の空間で、王道とはかけ離れた別世界へ。変化球系寿司屋の最高峰を体験する。

 

 

【アクセス】

二子玉川駅から徒歩12

 

 

【コース】

おまかせ:30000

 

 

【このお店のスペシャリテ】

・しじみ酒

まずはしじみ汁で胃を温める。ここから㐂邑劇場の幕開けだ。

 

・イカの塩辛

シンプルに美味い塩辛。濃い。酒が進む。

 

・ホッキ貝のオイル漬け

パキッ、グニュッとした食感。藁でいぶし、それをオイル漬け。いい意味で寿司屋らしくないつまみ。噛むほどに滲み出るエキスに酒が進む。

 

・アナゴのそぼろ

牛しぐれのアナゴ版という感じ。山椒がピリリと香るスパイシーさが特徴。

 

・鮑の塩辛

鮑の新しい食べ方。ムチムチでソフト食感の鮑にさっぱりとした肝が効いている。酒が進む。

 

・ウニそば

㐂邑のスペシャリテ。きめ細やかに泡立ったウニのお出しに固めの冷たいそば。思い切り音を立てて啜ると口中に広がるウニ特有の磯風味。これはここでしか食べれない、唯一無二の逸品だ。

 

・メヒカリ

香ばしい香りに笑顔が出てしまう。皮目のカリッカリでパリッパリ食感と身質のふわっとほろっと食感にびっくり。渋いが実力を感じる逸品。

 

・ワタリガニのブランデー漬け

こちらも㐂邑のスペシャリテ。思い切り手でしゃぶってチュパチュパ音を立てて食べると美味い。店内にチュパチュパ音が鳴り響く寿司屋は全国でもここだけじゃないだろうか。ワタリガニの身は生で、伊勢海老のような透明感溢れる食感と味。

食べ進めるごとにブランデーが脳内を刺激しどんどん酔いが回ってくる。後半はシャリ玉とミックスしてリゾット風に。完全にイケナイつまみのトリだった。

 

・シャリ巻き

ここからは握り。まずはシャリと海苔。九州のこだわりの海苔に赤シャリを合わせてまずは挨拶代わりに。米は岩手県遠野市の固めの米。酢は京都の飯尾醸造の富士酢と岩手県のどぶろく酢。塩はスペインとフランスのものを。完全に熟成寿司用のシャリ。

 

・シブ鯛

まずは珍しいネタ、シブ鯛からスタート。3週間目。トロッと、ネットリした食感でうまみと甘みがじわじわ広がる。シャリとの相性抜群。

 

・ボタンエビ

5日目。見た目のぼってり感に興奮。大きめの個体なのでほんのりとプリッと感を残しつつ。口に入れてからねっとりさが広がるいやらしさも兼ね備える。目を瞑って噛みしめたくなる絶品ネタだ。

 

・カワハギ

明石。大ぶりの肝を挟んで特大サイズに握る。肝自体も5日熟成。肝が主役の寿司という感じ。まるでクリームチーズのような風味で余韻が残る。薬味は全部ネタとシャリの間に潜ませるのが㐂邑の流儀。

 

・ブリ

ナイスフォルム。木で作ったパチンコのようなY字型のフォルムに興奮。照明に照らされて存在感抜群。熟成1ヶ月。デカイカットを折り畳んでエシャロットを挟んで握る。エシャロットが効いている。シャリとのバランスが刺激的でアクセント。

 

・赤ウニ丼

熊本天草。ビタースイーツチョコレートのようなまろやかな甘さ。シャリとのコントラスト。

 

・筋子

こちらも㐂邑のスペシャリテ。煌びやかにエロく輝く美しさに食べるのも忘れてしまうくらい。トロンとねっとり感。まとわりつくような舌触りが特徴的。

 

・カツオ

10日目。スモークハムのような薫香が鼻に抜ける絶品ネタ。熟成でもカツオらしい鉄分のフレッシュ感もしっかり。思わず唸った、熟成なのに爽やかな逸品。

 

・イワシ

こちらも㐂邑の握りスペシャリテ。セクシーカットでエロすぎフォルム。妖艶で惚れてしまう。切れ目から滲み出るひんやりとしたイワシ汁がブシャーっと。思わず目が丸くなる。シャリとのバランスも素晴らしく、酢締め加減も最高。食後の余韻もさっぱりしていて最強。

 

・キンキの炊き込みご飯

これまた珍しい逸品。ほぐしキンキの脂身とシャリの酸が相まって乳化。酸が際立つ炊き込みご飯。止まらない。

 

・マカジキ

これまたスペシャリテ。今回最長の熟成57日目。照り輝くフォルムは存在感抜群。口に入れた瞬間に体温でじんわり脂が溶け、極限にまでねっとりさが引き立たされる。これまで1万カン食べてきた寿司の中で最もネットリした寿司だった。シャリとのバランスも素晴らしい。

 

・玉子

シャリと食べる玉子は珍しい。薄くカットした玉子を大きめのシャリに巻く。

 

・シャリ玉

㐂邑の骨格、シャリ。固めの米でほんのりとした粘り気。噛むごとにほろりほろりと解けていく粒感。開店3年目、当時のお客から「どこの酢を使ってるの?」と聞かれ、詳しく答えられなかったという悔しい出来事をきっかけに、そのお客から紹介された京都のお酢屋、「飯尾醸造」と出会う。お酢づくりの過程を学び、その奥深さを痛感した大将がそこから研究を重ねたどり着いたこのシャリ。こうしたエピソードを聞くとより一層うまみが増す。ストーリーを感じるシャリだ。

 

・どぶろくのジェラート

締めは酒好きな木村大将らしいどぶろくのジェラート。仲の良い、日本一位のイタリアン「ペレグリーノ」の高橋シェフのジェラートからヒントを得たアイス。濃厚なミルク感とどぶろくの深みが口内に広がる面白い味わい。ボリューム満点の㐂邑劇場、これにて閉幕。

 

 

【まとめ】

やはり、完成度が相当高いなという印象を感じた。酒飲みにはたまらないつまみのラインナップもさることながら、なんといっても握りのうまさにたまげた。これまで食べた寿司の中でもトップクラスに大きいサイズ、そして熟成ネタとシャリのバランスは、完成度が本当に高く、プロフェッショナルな味に感動。

もともとお客さんが来なかった時に廃棄せざるを得ない魚に、腐敗していない箇所があることをたまたま気づき、試しに食べてみたらその旨みに驚いた。という偶然の出来事が㐂邑流熟成寿司のはじまりだった。以来、研究に研究を重ね5年経った時、今のスタイルが完成したという。完成形から7年経った今では、この熟成寿司を体験すべく、全国から食通が跡を絶たない。予約はかなり困難だが、寿司好きなら、一度は訪れたい超名店だ。

 

 

【食べログ】

https://www.google.co.jp/amp/s/s.tabelog.com/tokyo/A1317/A131708/13026584/top_amp/

 

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